薩摩琵琶と筑前琵琶のための「砧」

             ⭐︎共演の筑前琵琶/藤高理恵子さんと。

よく“譜面はあるのですか?”という質問を受ける。はじめて聞く音と歌(?) にこの疑問を持つ人は多いようだ。私たちが普段頼りにしている“琵琶譜”は四線譜だ。その上に柱(駒)の位置を示す数字が書いてあり、△は撥をおろし▽はすくうなど奏法が分かるように書かれている。合間合間に歌詞があるけれど、音程は記されていない。その代わり“謡出し”“中干”“大干”などの節の名前があるので、それを見れば出だしや終わりの音程が分かるようになっているのだ。(この辺りの譜面の話はまた改めるとしよう)

今回久々に現代曲(田口雅英/作曲)を演奏する機会に恵まれた。現代曲とは五線譜で書かれた曲のこと。譜面が届くと、まずそこに書かれている情報を必死に読み取る事から始まる。少しずつ琵琶の音を出す。つなげる。そして何とか表現出来た時に作曲家の思い描いた曲になればよいのだが、その道のりはなかなか険しい。今回の曲は“弾き歌い”という事もあり、声の表情にも心を砕かねばならない。随所で筑前琵琶の音色と声がずれて重なるのだが、そこが今回の曲の魅力でもあり不思議なところだ。

五線譜に書かれたものが琵琶の音で表される。これは悩ましくも創造的な作業である。世界中の共通理解としての五線譜に果てしない可能性を感じつつも、琵琶譜という独自の創意工夫を誇りに思う。

いずれにせよ、琵琶の音を生かす事が出来ればそれでよいのだ。

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