若い世代に琵琶を聴いて欲しい。
この願いは相変わらずです。
子供の時分に実際に見聞きする事がどんなに大切か、
それが未来に繋がると信じています。
私も中学生の頃、初めてミュージカルを見た体験が
少なからず今に繋がっています。
田舎町にやってきた劇団四季のコーラスライン。
ただただ圧倒されて
「これがプロなんだ」と漠然と思いました。
さて嬉しい事に少しずつですが、
学校で演奏させていただく機会が増えてまいりました。
小学校は今までも何度か伺ってますが
先日ははじめて高校へ。
ご近隣の一般のお客様も参加しての公開授業。
前列に主役の高校生たち、そして後方に一般のお客様。
後ろの方からは熱心な眼差しが伝わってくるのですが、
前方からはなかなか温度を感じる事ができず、
思春期の手強さを痛感いたしました。
以前大学で演奏した時には、
私が歌い出した途端笑い声が起きた事もあります。
思うに、普段見聞きしない音(声)や
生身の人間が至近距離でタタカッテいる姿への戸惑いが
無反応か笑い声というカタチになるのではないでしょうか?
この日はWSも取り入れ、平家物語の一節を読んでもらったり
“祇園精舎”を一緒に歌ったりしました。
俯いていた彼や声が聴こえなかった彼女。
私は今日の役割を全うできたのだろうか、と
不安に思いながら家路につきました。
後日生徒さんからの感想文が届き、
そこには嬉しい言葉がたくさん記されていました。
「 最初聴いたとき鳥肌が立ちました。祇園精舎を聴いたとき、
リズムがゆっくりで一つ一つの言葉が力強かったのが
印象的でした。琵琶の歴史を知ることができて勉強になりました。
とても面白かったです。」
「授業で音読はしていましたが、琵琶の音色と歌声が付くと
全然印象が違いました。その場の情景がまぶたの裏に
浮かんでくるような勢い、力強さ、そして繊細さで、
感動しました。」
「1番最初の祇園精舎を聴いたとき、
すごくカッコいいと思いました。
“壇ノ浦”は初めて聴いたのですが、音の強弱から場面の描写が
浮かんできてとても面白いと思いました。
もともと和楽器の落ち着いた音が好きなので、最後の“紅葉”が
とても綺麗な音で幸せな空間でした。」
※一番最後に童謡の「紅葉」を琵琶で弾き、皆んなで歌いました。
あぁ、そうか。
目には見えないけれど
彼らの中で確実に何かが起こっていたのだなぁ。
やはり、まだまだ修行が足りません。
場をつかんで、いつもと変わらない音をそこに持っていく事。
改めて、肝に銘じるのでした。
来月は大学での授業が控えています。
肝に銘じて…。